やさしい幽霊さん

たったひとつ、
あなたとふたり並ぶ時
この世に立っていられるの
あなたの指がふちをなぞる時
この身の汚穢をゆるせるの

ゆがんだ体が しずかな声が
怒りが 嘆きが 怨嗟が
きらきらと輝いて、残さず集めておきたくて

ひしゃげてよごれたあなたのすべてが
どんなにもよろこばしく、こんなにもかなしい

“鎮魂なんてさせない”と
互いにことばを手向けている

無上のよろこびと、無上のかなしみを
唯一無二のひと
好きよ、

©Two-Tone 2020